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第1回 残業の基準とは

執筆:松島 紀三男(まつしま きみお) 公開:



そもそも残業(時間外労働)とは何?

 

そもそも残業(時間外労働)とは何?
「残業」とはややくだけた言い方ですが「時間外労働」「超過勤務」も同じ意味です。法令では一般的に「時間外労働」が使われます。労働基準法等において、法定労働時間を超える労働のことを指します。
「残業」は法令で原則禁止とされています。ただし、例外的に「残業」が認められる場合があります。日本で「残業」が許されるのは以下の3つのいずれかの場合のみです。

 

●災害その他避けることができない事由によって、臨時の必要がある場合において、使用者が行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可を受けて、その必要の限度において労働させる場合(事態急迫の場合は、事後に届け出る)(労働基準法第33条1項)。
●官公署の事業(一部の事業を除く)に従事する国家公務員及び地方公務員が、公務のために臨時の必要がある場合(第33条3項)。1項と異なり、事前許可・事後届出は不要。
●同法第36条に基づき、労使協定を書面で締結し、これを行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出た場合。よく使われる言葉、三六協定(さぶろくきょうてい)のことですね。

 

そもそも「残業は禁止であり、やむを得ざる場合のみ、例外的に許されるのだ」ということを、経営者も従業員もしっかり心に刻んでおくことが大事だと思います。私は、日本の国際的に見ても長い労働時間、残業が慢性化している組織の多さの原因には、このような法令遵守の精神の欠如、「残業」に関する罪意識の希薄さが横たわっていると考えています。

 

法定労働時間

 

それでは、次に「残業」発生のしきい値、「残業」か否かの基準となる法定労働時間の数値について確認しましょう。
現在、1週間の法定労働時間は、事業場の規模と業種に応じて以下の表の通りになっています。

 

 

 

1週40時間

 

1週44時間(特例措置として週44時間まで認められる事業場です)

 

業種/

規模

301人以上

101~300人

31~100人

10~30人

1~9人

製造業

40

40

40

40

40

鉱業

40

40

40

40

40

建設業

40

40

40

40

40

運輸交通業

40

40

40

40

40

貨物取扱業

40

40

40

40

40

林業

40

40

40

40

40

商業

40

40

40

40

44

金融広告業

40

40

40

40

40

映画・演劇業

40

40

40

40

44

通信業

40

40

40

40

40

教育研究業

40

40

40

40

40

保健衛生業

40

40

40

40

44

接客娯楽業

40

40

40

40

44

清掃・と畜業

40

40

40

40

40

その他の事業

40

40

40

40

40

 

 

注)業種分類は、労働基準法別表第1に掲げる分類によります。規模は、企業全体の規模という意味ではなく、工場、支店、営業所等の個々の事業場ごとの規模をいいます。

(出典:厚生労働省ホームページ)

 

特例を除き、40時間ということですね。それではなんで40時間なの?、40時間という基準は妥当なの?、次回では、労働時間の長さの根拠について考えていきましょう。

 



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